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創学舎の本

  ● 発刊:2006年5月1日
● 品番:ISBN4-921207-04-6
● 著者:小林憲右(こばやしけんすけ)
● 装丁:四六判 上製本
● ページ数:252ページ
● 厚さ:22mm
● 定価:1,575円(税込)
● 発行:創開出版社
※Amazonで購入する。
まえがきより抜粋

人は誰でも忘れられない出来事がある。そして、それがその人の心の中の原風景の一部となって、性格や感じ方のいくらかを支配するのだ。

 

私には、小さい時から悲しいことが多かったように思う。

父とは一度しか会っていない。夜汽車の窓から身を乗り出し、私と弟の名前を呼びながら手を振る彼の姿が最後であった。

小学校の入学式の翌日いじめにあい、次の日から不登校。

家はひどく貧乏で、生活保護を受けていた。

おまけに病弱で九年間も薬を飲み続けた。当然病院通いの日々。

それでも私は、恵まれた人生だと思っている。父のことは少しも憎んだことはなく、むしろ感謝している。不登校は何とか克服できて、私を虐(いじ)めた人たちになんの怨(うら)みもない。いじめられたことは、今はよき思い出。生活保護を可能にしてくれた社会に、またその制度に感謝している。名医のお陰で病は完治し、元気に暮らせている。

私がこうした気持ちになれたのは、まさに多くの人達の愛情のお陰である。母や祖父をはじめとして、学校の先生、親類、友人達…。私は普通より少しだけ悲しいこと、辛いことが多かったけれども、きっと普通の人の何倍も愛情や善意を戴いたのだ。そして、望ましい生き方や考え方をたくさん見せてもらった彼らのことを思うとき、ただもう感謝感謝である。

 

さて、本書は私が経営する学習塾創学舎が毎月発行する「塾通信」に掲載した記事を加筆訂正したものである。書き始めてから二十年近くの年月が経過した。「塾通信」に記事を書くことになったのは、子供達の状態がおもわしくなく、またその保護者も様々な悩みを抱えていることを実感したからである。微力ながらも自分の体験や考え方を紹介することで、何らかのヒントが提供できればと思ったからである。

順調に見える子供でも、実は人には言えない悩みを抱えていたりする。無気力に思える子でも可能性をたくさん持っている。どの子も目標や目的を持ちたいと願っている。親は子供のことを思っている。子供の成長を願い、毎日がんばっている。

ただ親も子もうまくいかないだけなのだ。何かが足りない。何かを忘れている。何かを見失っている。本書がそういうものを取り戻す助けになれば幸いである。